地元の工務店などに請け負わせて注文住宅を施工するにあたっては、もし引き渡しを受けた後で、天井からの雨漏りなどの重大な欠陥がみつかった場合に、その責任は誰が負担するのかという点が不安の的となります。こうした場合、民法による基本的原則からいえば、その目的物の引き渡しを受けてから1年以内であれば、売主にあたる工務店が、無料で修理に応じたり、損害賠償のための費用を負担したりしなければならないものとされており、これを瑕疵担保責任と呼んでいます。しかし、注文住宅のような特別なケースについては、住宅品質確保法という法律によって、新築の時点から10年間という長い期間にわたって、該当する注文住宅の瑕疵担保責任が認められるということになっています。これは、住宅という高額な買い物をした一般の消費者を保護するとともに、住宅の流通を円滑にしようとする国の配慮から生まれたもので、民法の原則を大きく上回るような保証を受けることができるのです。
もし、法律で定める10年間のなかで工務店が倒産してしまい、瑕疵担保責任が果たされないようなケースも想定して、法律では対策を打っています。住宅瑕疵担保責任保険とよばれる特別な保険制度があり、通常、住宅の販売をしている開発業者や、注文住宅の施工を請け負う工務店などは、こうした保険に加入しています。そのため、仮に倒産などの事態があったとしても、修理などに必要となるお金はこの保険から捻出することができるのです。